科学研究費補助金 基盤研究(C) 文化財科学・博物館学 研究課題番号:25350395

本研究の目的

研究対象とする陶器商を経営しているS家は、千葉県香取市佐原に所在する。同家の所持する紀の国屋大蔵は、「重要伝統的建造物群保存地区」の対象地区から僅かに外れているものの、水郷佐原の町並みを形成する重要な歴史的建造物である。その規模は全長約18 ...

研究の学術的背景

房州佐原は“小江戸”と称されるがごとく、高瀬舟やひらた舟を用いた利根川舟運における河港商業の中核として栄え、利根川支流の小野川沿いには米問屋や醸造業を営む店が多数軒を連ねた。伊能忠敬(1745-1818)の在した商家もその一角にある。佐原の ...

本研究の学術的特色と意義

本研究に置ける学術的特色は、建築史学・歴史学・考古学・文化財学・博物館学の各分野にわたる複合性にある。大蔵を建築史学的観点からのみで評価を加えるだけでなく、大蔵を有したS家そのものを文化財学・歴史学的観点から、さらに陶磁器などの資料を考古学 ...

研究機関内の達成目標

(1)大蔵の所有者であるS家の来歴調査 S家は、もともと紀州藩の刀工であり200石の家督を得て紀州有田に移り住み、幕末頃に箕島から東京下谷を経て佐原に移住し陶器商を営んだ。大蔵は、明治15(1882)年頃地元の荒物屋の天満屋の蔵を購入し同家 ...